硝子体注射について

硝子体注射のイメージ写真

硝子体注射で使用する薬物には幾つかの種類がありますが、近年、急速に普及してきたものとして抗VEGF硝子体注射があります。
成長を促す血管内皮細胞増殖因子の働きを抑える薬剤を硝子体に注射するだけなので、点眼麻酔によって短時間で行えます。
これによって新生血管を縮小させる効果が見込めます。

VEGFとは

VEGFは糖たんぱくの一種であり、本来は血管の新生を助ける働きがあります。しかし、増殖糖尿病網膜症や加齢黄斑変性症などの病気の際には、この因子によって新生血管を増殖させてしまい、網膜のむくみや視力低下の原因となりかねないのです。抗VEGF硝子体注射はVEGFの働きを阻害し新生血管の成長を抑えるので、加齢黄斑変性や血管新生緑内障などの治療に高い効果が期待できます。

抗VEGF療法の治療費について

この注射に用いられる薬物の価格は、例えばルセンティスが18万円程度、アイリーアならば16万円程度です。高額ではありますが、健康保険の対象であり高額療養費も適用されるので、自己負担額はそれほど高くありません。

治療に要する時間は1回あたり1分程度なのですが、しばらくすると新生血管が再生してきます。そのため、初回の注射から1か月後、2か月後に再び注射を打つ必要があります。その後は、病状によって異なりますが、2か月ごとの注射が基本となります。また、非常に稀だが眼内炎という重篤な感染症を来す場合がありますので、注射前後3日間抗生剤の点眼が必要です。

硝子体注射の適応症例について

硝子体注射は、網膜に発生する新生血管を減らす目的で行われる場合と、網膜にある黄斑の浮腫を改善するために行われる場合があります。

新生血管を減らす目的

  • 加齢黄斑変性症の治療
  • 増殖糖尿病網膜症の治療
  • 血管新生緑内障の治療

黄斑浮腫を改善する目的

  • 糖尿病網膜症の治療
  • 網膜静脈閉塞症の治療